オフィスの窓から:連載コラム3
メディア詳細情報
メディア掲載年月 | 2004年6月 |
掲載媒体 | 沖縄タイムス社 |
第三回「3つのバランス」
2004年6月27日
「コーチングを勉強したがなかなか上手くいかない」という声をよく耳にする。詳しく話を聞いてみると、そうおっしゃる方のほとんどがスキル(技術)にばか り目を向けている。どの職業でもそうだと思うが、小手先の技術だけで人は動かせない。すばらしいスキルをもっていても、相手を思う姿勢とそれを受け入れや すい場づくりをしなければコーチングは機能しない。スキルはコーチングの中のほんの一部にすぎず、それを有効に活用していただくために、私たちは必ず Doing(行動)、Being(姿勢)、Space(場づくり)の3つのバランスを伝えている。
私の母を例にとって紹介しよう。母はいい年をとうに超えた娘である私に対し、未だに細かなアドバイスをする。化粧の仕方、服装の色、形、そしてアクセサ リーの付け方など。母のアドバイスどおりにしていると、私は実力以上に美しく見える。つまりは母には的確なDoingがあるのである。その理由は母自身が おしゃれに強い関心をもっていることが挙げられるが、それだけではない。的確なDoingの根本にあるものは、自分の娘が多くに人々に愛されてほしいとい う、母としての強いBeingがあるからだ。親の愛情とは本当にすごいものである。
しかし・・・時としてそのアドバイスがうるさくてたまらない。なぜな ら、母にはSpaceがないのだ。アドバイスをするタイミングなど考えず、絶えず言い続ける。たとえ私が原稿を書いている最中でも、仕事のイメージトレー ニングをしている最中でもお構いなしである。志向の流れに水を指された私は「いいのよ見た目なんか!」と、本心ではないことを口走ってしまう。しかし、結 局出かけるときには、私から母にアドバイスを求める。「この格好、おかしくない?」なぜなら私には母のBeingがよくわかっているからである。そして私 は母を最も信頼し、最も認めてほしい人だからである。
「未成年の殺傷事件」が世間を騒がすたびに心が痛い。よくよく調べてみると、親が子を思うあまりに熱心な教育管理をしたことが原因だったりする。その強い 愛情が子に伝わらないために事件が起こる。もし、親か子のどちらかがDoing、Being、Space のバランスを知っていたら、こんな痛ましい結果にはならなかったのではないかと思うたびに、これを広く啓蒙することに使命を感じる。







