オフィスの窓から:連載コラム5
メディア詳細情報
メディア掲載年月 | 2004年9月 |
掲載媒体 | 沖縄タイムス社 |
第五回「安定した力」
2004年9月5日
もし自分が周りの人々から驚くほどの賞賛を浴びたら、気力が上がるほうだろうか、それともプレッシャーを感じるほうだろうか。それとは逆に、信じられない ほど批判を浴びたら動けなくなるだろうか、それとも反撃に出るだろうか。 俳優やスポーツ選手のコーチングを行うたびに、いつもこんなことを考えている。常に大衆の強い視線の中で仕事をする彼らは、いつでも賞賛と批判を同時に体 験している。人気が上がれば上がるほど「アンチ」と言われる人々が出てくるからだ。
プロの実力とは「安定した力」を指すのだそうだ。アマチュアは調子のいい時と悪い時がはっきりしていて、見ていて面白くもあり危なっかしいでもあるが、プ ロとかベテランといわれる人たちはどのような状況におかれても、いつもと変わらず自分自身のペースを崩さない。表に出る人やトップに立つ人は、本当に自己 管理能力が求められる。そして「安定した力」に向かうまでのプロセスで気づきを得るために、私たちコーチが雇われる。
ところで、最近行われた某有名新聞の消費者調査で、実に85%以上が「欲しいモノはない」と回答していた。人々はもう充分にモノを持っているのである。豊 かな時代だ。そんな中、業績を伸ばしている企業には、ある共通点があるという。それは「モノ」を売るのではなく、「体験」を売っていることだ。自動車業界 のコマーシャルは車ではなく、「車のあるライフスタイル」をクローズアップするようになり、業績を高めている。代表的なのはホンダのステップワゴンの「子 どもと一緒にどこ行こう」というコピー。明らかに車を移動や物を運ぶための道具ではなく、素敵な体験をするためのツールとして扱っている。
ビジネス界で言う「安定した力」とは、お客様が得る体験に視点をおき続ける企業を指すのかもしれない。「お客様は、あなたの商品を通してどのような体験が得られるのですか?」私もコーチングの中でこんな質問をすることが多くなった。







