藤本ゆかりのコーチングブログ
ハートを咲かせよう!
- 2024.08.14
- 末吉芙由子
核心に迫れる関係性
先日まで放送していた医療系ヒューマンドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』。交通事故の後遺症で、その日の記憶が翌日には消えてしまう主人公の医師、みやび先生を中心に描かれた物語で、毎回グッと心に刺さる内容に時に涙しながら観ていたのですが、コーチングの視点でも学びのある作品でした。
彼女の一日は朝起きて、前日まで書き綴った日記を読むことから始まります。前日までの記憶を辿るため。そこには職場のスタッフ名から始まり患者の様子や出来事が細かく記されており、そこに彼女の真面目さ、優しさそして心の葛藤が伺えます。それだけでも十分見応えがありますが、さらに私の思う見どころは、彼女を取り巻く人々との関係性です。
特に第一話で、キーパーソンである医師三瓶先生の「あなたは、障害を持った人は、人生を諦めてただ生きていればいいと思っているのですか?」の一言は強烈に印象に残っています。「障害を持った人」全体というワイドな視点をもたらしつつも、その上で、あなたはどうなんだ?と姿勢を問うたセリフでした。手術を執刀するだけの能力があっても、記憶が消えてしまうことを免罪符に諦めていないか?と指摘し、みやび先生の心を揺さぶります。
コーチングでは、能力を引き出す過程で”褒めてモチベーションを上げる”ことがフォーカスされがちですが、実際は違います。クライアントが不安や失敗に対する怖さやから、自分の能力を極端に過小評価して諦めてしまいそうな時こそ、胸ぐらを掴む勢いで核心に迫る問いを投げかけます。これを私たちは「ハート&ソウル」と呼んでいます。決して耳触りの良い言葉で相手を受け止めるだけがコーチの役目ではない、と再確認させられたのでした。
もちろん、三瓶先生の厳しい言葉にみやび先生が心を動かされる前提には、二人の関係性があります。技術指導はもとより手術練習を見守り、あなたはできると声をかけ、みやび先生も三瓶先生を信頼している。そんな関係性の上での言葉だからこそ、心に響いたのです。関係性が育まれていないまま、あんな言葉を言われても、何も感じないかハラスメント扱いされかねません。関係性という土台がしっかりしていれば、言葉の真意がより深く伝わり、さらに絆が強くなる。そんな様子が丁寧に描かれています。日頃の何気ないコミュニケーションから関係性は創られます。だから、たかが一言の挨拶であっても軽んじては勿体無いなぁと私は思うのです。
いやはや、個人的にはコーチとしての姿勢までも正さずにはいられないほどメッセージ性のある、温かく素敵な作品でした。ご興味のある方はぜひご覧になってみてくださいね。
文:プロフェッショナル・コーチ
末吉芙由子
プロフィール
藤本 ゆかり
- 株式会社インテリジェンス・アンリミテッド 代表取締役
- エグゼクティブ・コーチ
- 1964年3月13日、沖縄県生まれ
勉強も運動も何をやっても上手にできなかった子供時代。やっとの思いで高校を卒業後、無試験で入学できる専門学校へ進学。その後、「お茶くみ」という職種で就職し、その会社の心豊かな人材育成によって能力を開花させる。生まれて初めて学ぶことの面白さを知り、秘書の資格を取得して「お茶くみ」から「秘書」に転身。その後も社会人大学で心理学を学んだ。秘書になって15年後にコーチングに出会い、お茶くみ時代の心豊かな人材育成はコーチングであったことに気づく。2000年3月13日にコーチとして独立。株式会社インテリジェンス・アンリミテッド設立し、主に経営者のコーチングに従事している。
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